渋谷手話の会、その歩みと役割

 

 設立のきっかけになったのは、「手話通訳者を育てよう」という聞こえない人たちの熱意でした。設立(1974年)当初は、聞こえない人も聞こえる人も一緒になって茶話会的かつ家庭的な雰囲気のなかで学習や交流を深めていました。

 1976年に現在の名前になり、2年後には、手話奉仕員養成のために区から社会教育団体として補助金が交付されるようになりました。当時まだ手話講習会がなかったためです。この結果、手話の会は、他のサークル以上に学習を重視するようになりました。実際、聞こえない人と交流したり、活動したりするには手話が不可欠ですので、手話の学習、普及に大きな役割を果たしてきました。1990年に手話講習会が発足してからも、その伝統は受け継がれています。

 1982年に渋谷区で第31回全国ろうあ者大会が開かれました。当サークルは大会の開催に協力するとともに、挨拶にたった常陸宮様の通訳を山田会長が担当しました。

 その後、手話通訳ができる人がふえ、成人式、区民祭、教養講座など区内の各種の催しの通訳もすべて当サークルが引き受けるようになりました。1997年になって区の通訳者派遣制度が創設されましたが、区の各種行事への通訳派遣はなお手話の会で受け持っています。

 1998年に渋谷区に東京聴覚障害者自立支援センターが設立されました。これは渋谷区聴協会員だった岡沢さんの遺志で贈られた土地に建てられたものです。支援センターに移った東京都聴覚障害者連盟の開所式には当サークルも裏方としてボランティア協力しました。連盟の所在区として、連盟の行事や支援センターへの協力もふえています。

 2000年々より、渋谷区では、23区のトップを切って、区議会に手話通訳がつくようになりました。直接的には渋谷区登録手話通訳者の会が担当しますが、そのほとんどはサークル会員ですので、通訳者の育成などサークルとしても側面から協力しています。

 手話講習会が生まれたといっても、手話講習会3年間だけでは手話通訳はむずかしいのが現実で、登録通訳者の数は不足しています。そこで、サークルとしては、手話を学びたい人に、講習会に通っている時でも、修了後でも、いつでも学べる場を提供するという設立の目的を基本にして、活動しています。

 

  

 

東京聴覚障害者自立支援センター

 同センターは、渋谷区聴覚障害者協会の会員だった岡沢さんの遺志(土地の提供)で渋谷駅近くの地に、1998年に建設されたもので(開所は7月20日)、東京都聴覚障害者連盟事務所、地元の渋谷区聴覚障害者協会事務所があり、現在、東京のろう運動、手話指導普及活動の中心になっています。また、自立支援センター自体も事業を行っており、2002年からは東京における要約筆記者の派遣事業、要約筆記者の養成事業を主管しています。
 センターが開所したのを記念に、1999以降毎月7月に「センターまつり」が開かれるようになりました。2001年には、センター開設にも尽力された吉田元東京都聴覚障害者連盟理事長が5月27日に、急逝されたましたが、氏の遺志を受け、合同葬儀(しのぶ会)の翌日、は予定通り開催されました。
 「センターまつり」には毎年渋谷手話の会もボランティアとして通訳や案内など協力をしています。

 

(利用者の感想)「渋谷駅から数分で、初めは道がわかりにくいのですが、行ってみるといろいろ催しもをやっていたり、手話やろう運動に関係する資料があり、また、ビデオをみることができます。気に入れば、3階の東京都聴覚障害者連盟の事務所で図書やビデオを購入できます。それにセンター職員に地元の人もいて、とても親切です。まだ行ったことがないという人にはおすすめポイントです。」(fA)

 

    支援センターの壁にはられている当サークルの大きな記念タイル